NOTES

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FOOD ARTとkojin kyoto

荒神橋のそばにあるギャラリーkojin kyotoで、袴田尚弥さんによる展示「THE WORLD OF FOOD ART」が、11月10日から14日までの5日間開催された。9月末に出版した、2冊目の作品集『FOOD ART capture the beauty』の出版記念として行われた展示だ。

110では、書籍の装丁とプロジェクトマネジメントをはじめ、展覧会のDM、パンフレット、ポスター、Tシャツなど、展示りのデザインまわりを担当させてもらった。紙の書籍の制作を軸にしながら、展示という場まで含めて関われるのは、やはりうれしい。


FOOD ARTというのは、袴田さんが切り拓いてきたジャンル。もともとはフードスタイリストとして、東京の雑誌などで活躍された方だが、ある時期から「一人の作家として作品をつくる」ことにも舵を切った。
作品を見ればすぐにわかるが、ぱっと見ではランドスケープの類に見える。とても食べ物だとは思えない。その種明かしをしたときの反応まで含めて、作品になっている感じがある。一度、形をデッサンに起こし、そこからレシピを考え、実際にオリジナルの料理として成立させるのだという。
毎回思うのは、「クレイジーだな」ということ。もちろん、最大級の褒め言葉として。創作に対する情熱も含めて、もっと多くの人に、袴田さんのクレイジーさが伝わればいいのになと思っている。1冊目が完成しても満足せず、さらに2冊目をつくることになり、今回の書籍に至った。その執念みたいなものも含めて、FOOD ARTなのだと思う。


kojin kyotoは、荒神橋のすぐそばにあり、3階建てのギャラリーだ。鴨川側はほぼ全面ガラス張りで、川を望む景色がとても気持ちいい。コロナ禍の頃、3年ほど前に建てられたらしい。会社員時代、向かいにある京大の稲盛財団記念館にクライアントがいて、このあたりはよく通っていたけど、いつの間にこんなにいい箱ができていたのかと。

1階に写真、2階にムービー、3階はキッチン付きという特性を活かして、実際に食べられるFOOD ARTが軽食として振る舞った。見るだけではなく、空気を感じ、味わい、階を上がるごとにFOOD ARTの世界に深く入り込んでいく構成になった。普段は、平面の紙の上で、見開きや構成を考えながら世界観をどう伝えるかに頭を使っているが、展示はやはり空間が立体的で、抜けがあっていい。作品と人が、箱を介してつながっているのを実感できたのは、とても貴重な経験だった。

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