NOTES
例えば本に、電子書籍と紙の本があったら、自分は紙を選ぶことが多い。
便利さとか合理性とかで言えば、電子のほうが優れている場面もたくさんある。
それでも紙を手に取ってしまうのは、装丁に意味があると思っているから。
本の内容やコンセプトに合わせて、どんな形にするかを考える。
その行為そのものが装丁で、何気なく触っている紙の種類にも理由があるし、
デザインはその本の空気をつくろうとしている。
綴じ方や印刷の方法も含めて、すべてが「その本はどういう存在なのか」を形づくっている。
人は一人ひとり違っていて、同じものはひとつもない。
もしオリジナルなものをつくろうとするなら、型通りである必要は、たぶんない。
線を引くことに、少し似ている。フリーハンドで引いた線は、まっすぐにしようとしても歪んだり、揺れたりする。
でも、その歪みは欠点というより、その人らしさでもある。
定規で引いた線はきれいだけど、どれも同じになる。
出会うこと。
企画すること。
書くこと。
デザインすること。
印刷・加工の設計をすること。
そして、本という形に仕上げること。
そうやって重なっていく工程のなかで、歪な線が集まってできる雰囲気や、うまく言葉にできない何かを、あえて形にしようとする。
それが、本づくりひいては紙媒体のおもしろさの一つだと思っている。
110というスタジオがやろうとしているのは、だいたい、そういうことです。